【ハンドドリップコーヒー】自分の理想の味を実現するドリップの仕方

【ハンドドリップコーヒー】自分の理想の味を実現するドリップの仕方

コーヒーの淹れ方には様々なものがありますよね。

ドリップ、サイフォン、ターキッシュ、エスプレッソ、フレンチプレス…挙げればキリがありません。それぞれの淹れ方で味が違いますが、中でもハンドドリップは、淹れる人によって味が変わりやすいものだと思っています。「美味しいコーヒーの淹れ方」と題して、ハンドドリップの仕方を解説する記事や動画は、今では多く見つけることができます。しかし、どんなコーヒーの味を目指すか、どんなコーヒーを飲みたいかによって、淹れ方はかなり(場合によっては180°)違ってきます。今回は、ご自身の好きなコーヒーの味に合わせて、最適なドリップを見つける足がかりを考えてみましょう。

好みの味は豆の選択から

いきなりドリップ以前の話をしてしまいますが、大事なことなので触れておきます。

確かに淹れ方によって、コーヒーの味は大きく変わりますが、それよりも大きく影響するのが「豆の選択」です。好みのコーヒー豆やお店を見つけられるかどうかで満足度の半分以上は決まってしまうと思って良いでしょう。これについての記事も近々アップしたいと思います。

僕が考えるドリップコーヒーの味の種類分け

淹れ方によって変えられるコーヒーの味は次のようになってくると思います。

「ストロング」か「マイルド」か

「濁りがある」か「クリーン」か

僕の定義(しかもドリップをわかりやすくするための便宜上)なので、ざっくりイメージがわかれば十分です。なお、この違いはコーヒー豆の量、挽きの粗さ、抽出温度などの条件が同じでも、ドリップだけで上のような味の違いを出すことが可能です。「ストロング」か「マイルド」かは、味が強く感じるか柔らかく感じるかの違い。

ストロングな状態は苦味、酸味、コクがどれだけ出ているかですが、「濃い味」とは分けて考えています。味が強いに越したことは無いのですが、強すぎるときつい苦味や酸味、えぐ味のような味も混ざってきます。結果、インパクトは強いけど、おかわりはできないかな、という味になります。「濁りがある」味か「クリーン」かは、とろみのあるこもった味わいか、クリアで味をハッキリ感じるか、と言い換えることもできます。

この4つの特性をまとめると、次の図のようになります。

コーヒーの味の出し方

ストロングな抽出、マイルドな抽出

ストロングな味を出す方法

では上の図を見ながら、マイルドな抽出、ストロングな抽出の仕方を考えてみましょう。味を強く感じさせるためには、ズバリ蒸らしを含めた前半の抽出をじっくりと行います。具体的には、

  • 蒸らしに使う時間を長く取る
  • 蒸らし時に注ぐお湯の量を少なくする

という作業になります。

蒸らし時間を長く取ることで、次にお湯を注いだときに出る成分の量を多くすることができます。原因はおそらく、豆の中の空気やガスが多く抜けて抽出を妨げなくなる+豆の組織がふやけて成分が溶け出しやすくなる事だと考えます。また、蒸らしの湯量を減らすのは、成分が豆から出きらないうちにサーバーに落ちる液体の量を減らすためです。そして蒸らしの後の1湯目(僕は2湯目と呼びます)で、十分に蒸らされた豆から成分をたっぷり出します。なので蒸らしのお湯の量は、全体にお湯が染みる程度にしておきましょう。僕はその場合豆のグラム数に対して2倍程度のお湯を注いでいます。

マイルドな味を出す方法

蒸らし時間が長すぎたり、蒸らしに使うお湯が少ないと、抽出後半になって苦味、酸味、えぐ味がきつくなってきてしまいます。マイルドな味を出すためには、抽出工程全般において平均的にコーヒー成分が出てくれるよう抽出します。そうすることで、抽出後半のいわゆる「過抽出」を防いでネガティブな味を出さない事を目指します。ストロングな味を出す作業とは反対に、

  • 蒸らし時間を短くとる
  • 蒸らしでたっぷりお湯を注ぐ

ということをします。

蒸らし時間は豆の膨らみ具合にもよりますが、マイルドに出すなら30秒、ストロングに出すなら40~45秒でしょうか。蒸らしに注ぐお湯も豆のグラム数の3~4倍程度注いでしまっていいです。少し一口目のインパクトの欠ける味にはなりますが、飲みやすく後味の良い仕上がりになります。

濁りのある抽出、クリーンな抽出

ストロングな味とマイルドな味、あなたはどちらが好みでしょう?

好みの味の強さがわかったら、次は濁りを出すかクリーンに仕上げるかです。これは口当たり、マウスフィールと表現できるかもしれません。スペシャリティコーヒー協会などではコーヒーの味の品評では専門用語を使うのですが、講習とかは受けたことが無いので独自の表現しかできません。基本的には、ドリップの場合クリーンな味に仕上げたほうが良い味と感じやすくなります。

コーヒーの味の出し方

もう一度さっきの図を見てもらうと、この2極感の違いは、「浸漬状態」か「透過状態」か、と表現しています。

ドリップやエスプレッソのように、粉に対して常に新しいお湯を透過させてコーヒーを抽出することを「透過法」といいます。そしてサイフォンやフレンチプレスのように、一定の時間お湯に浸してコーヒーを抽出することを「浸漬法」といいます。「プアオーバー(透過法)」と「イマージョン(浸漬法)」という言葉で知っている人もいるかも知れません。ハンドドリップは分類でいうと透過法になるわけですが、淹れ方によってはドリッパーの中で、浸漬状態を作ることが可能です。可能ですし、意図せず浸漬状態になってしまう場合もあります。

クリーンな味を出す方法

クリーンな味を出せると、抽出されたコーヒーの味がよりわかりやすくなり、インパクトを弱めることがありません。ただし、あまりクリアすぎると、味の厚みが無いと感じてしまうかもしれません。味が透き通り過ぎているのだと思います。クリーンな味に近づけるためには、

  • 中心に少しずつお湯を注ぐ
  • コーヒー豆の層より水位を高くしない

ということを意識します。

透過状態と浸漬状態

まずは上の左の図を見てください。

クリーンな味に仕上げるには、注いだお湯をどんどん下に落として透過させることが重要です。そのために、お湯はなるべく中心付近に円を描くように注いでください。中心にお湯を注ぐと、真ん中にお湯の通り道ができて、すり鉢状にコーヒーの層ができます。この層をお湯が満遍なく通って、素早く成分を抽出しながら落ちてくれます。無理にすり鉢状にする必要はありませんが、すり鉢が崩れると中心の層が厚くなり、お湯の落ちるスピードが遅くなってしまいます。

すり鉢を崩さないコツは、ドリッパー内の水位をコーヒーの層の一番上より高くしないことです。水位が上がりすぎるとコーヒーの層が浮いて、形が崩れてきます。水面がコーヒーの層の上部ギリギリになるよう調整しながらお湯を注ぎましょう。

濁りのあるコーヒーを淹れる方法

一方濁りのあるコーヒーは、味がこもる分インパクトが薄れますが、とろりとした口当たりで後味が強くなります。少しオイリーで、液体が濁っているように見えると思います。個人的にこの淹れ方は、浅煎りのコーヒーを淹れるのに向いていると思います。正直、浸漬法で味を作るにはフレンチプレスやサイフォンの方が向いているのですが、ドリッパー1つで味の調整ができる点と、ペーパーを使った味が出せるのはペーパードリップだけです。

透過状態と浸漬状態

今度は右の図です。浸漬状態を作る作業は以下の通り。

  • 一気に上までお湯を注ぐ
  • 全体的にお湯を回し入れて、すり鉢状になったコーヒーの層を崩す

なんだかハンドドリップでやってはいけないことをやっているような気がしますね。お湯を一気に注ぐことでドリッパー内をお湯で満たしてゆっくり成分を抽出します。このとき、コーヒーの層をわざと崩すように、周りにもお湯をかけてしまいましょう。コーヒーの層は上図右のように、ドリッパーの下に集まって層が厚くなります。すると抽出スピードが遅くなるので、ドリッパー内が浸漬状態になりながら落ちてゆくというわけです。そしてサーバー内のコーヒーが一定量になったらドリッパーを外します。

深煎りのコーヒーでやると、抽出が遅いほど苦味がきつくなってきますが、浅煎りの場合は抽出後半にも甘みが出てきて、口当たりが良くなってきます。

抽出の前半、後半でコーヒーの性格を分けて考える

少し長くなってしまいましたがここまで読んでくださってありがとうございます。これまでの説明を踏まえてまとめると、

  • 抽出の前半で味の強さを調整
  • 抽出の後半で味のクリーンさを調整

というふうに分けて考えることができます。

例えば、「強い味でかつクリアな味を」と思ったら、蒸らしに時間をかけて、素早く透過する、といった具合です。僕の場合は浅煎りのコーヒーを、マイルドかつ濁りのある味に仕上げるため、蒸らしを短時間で終えて、勢いよくお湯を注いで浸漬状態にしています。気分や豆によって淹れ方を変えたりするのですが、その際も以上の点を踏まえながら淹れるので、なんとなくイメージ通りにコーヒーを淹れられるようになりました。

ぜひあなたオリジナルのハンドドリップ開発にも役立てていただければと思います。