最高峰コーヒーミル「カリタ ネクストG」はコーヒー研究におすすめだが…
- 2020.09.05
- コーヒー
カリタのナイスカットが消えてしまう?
カリタの「ナイスカットミル」といえば、そこそこコーヒーに詳しい方なら誰でも知っているのではないかと思うほどの有名モデルですね。このナイスカットシリーズなのですが、最近こっそり市場から消えはじめています…。2年くらい前までは、伝統シリーズの新版である「ナイスカットG」家庭用フラグシップモデルの「ネクストG」があり、ハンドドリップを真剣に取り組むなら諸手を上げて購入を賛成できるモノでした。
※今現在はまた出てきてますね。特にナイスカットミルは新しい色になって出てきたりで値段は上がってるけど…(2021年現在では)
特に僕の持つネクストGは値段的には4万円弱となかなかぶっ飛んでいます。コーヒーミルなんて電動でも2000円くらいからあるので、なかなかこれを購入するぶっ飛んだ方は少ないと思いますが、しかしこのモデルには4万円の価値に値して余るほどの性能があります。
僕がコーヒーミルに求める最低限
自称コーヒー研究科の僕としては、自分の淹れ方でどんな風に味が変わってくるのかわかるのが重要テーマです。
そんな時、研究段階では豆のコンディションのバラつきはできる限り抑えたいと考えています。なおかつ、豆の持つポテンシャルを損なわずに引き出してくれる豆の挽き方が重要なわけです。であるからして”コーヒーミル”というものには特別なこだわりを持って選びました。僕が重要視するポイントは、
- 豆の粒度の均一性
- 豆の風味の壊しにくさ
- 粗さ調整のしやすさ
という点です。
豆の粒度の均一性
粒度の均一性とは、豆を挽いたときに、どのくらい粒が揃っているかということですが、もちろん全く均一になるのではありません。かなり細かい微粉が出てきたり、逆に挽ききれていなくて荒い粒があったりしますが、性能が良いミルはそのバラつきが少なくなります。粒度のバラつきが少ないとどうなるのかというと、ズバリ、クリアな味わいになるわけです。ここでいう”クリア”とは、単に味が薄く感じるのではなく、雑味が少ない、出したい味をハッキリと感じる、ということです。細かすぎる粉からは、通常より早く苦味、えぐ味が出てきたり、大きすぎる粉からは味の抽出が不足したりと、粒度にバラつきがあると狙っていない味がどうしても混ざってしまうことになります。
安い電動ミルだと、ミキサータイプのものがありますが、どうしても均一性が損なわれるうえ、自分で一定に調整するのが難しくなります。ネクストGはフラットカッターという低速で挽く臼のようなものを採用していて、それが粒度を一定にしやすい秘密となります。
豆の風味の壊しにくさ
次に、豆の風味を損なわずに、どれだけ素材を活かしたまま挽けるか、という点に注目します。「コーヒーミルで挽きたてなら、風味は失われてないんじゃないか」と普通なら思うかもしれませんが、豆の挽き方も重要になってきます。コーヒー豆のような硬いものを挽く時、当然摩擦熱が発生するわけですが、熱により豆の風味が飛んでしまうわけです。原因はよくわかりませんが、おそらくは熱によって香りがたってしまい、カップに抽出するまでに香りの残量が減ってしまうのかもしれません。
とにかく、豆を挽くときには摩擦熱を抑えて挽くことが大事なのです。先程も触れた、安いミキサー式は高速回転であるため、かなりの摩擦熱を発生させてしまいます。これもナイスカットは低速回転を実現することで、摩擦熱を抑えてくれるのです。特にネクストGは、ナイスカットシリーズから更に低速になっているので、挽くのに少しだけ時間はかかりますが、熱の少なさも静音性も上がっています。
粗さ調整のしやすさ
自分の好みの一杯を作り出すにあたって、挽くときの粗さ調整は重要なファクターの一つです。
粗さによって、抽出スピード、味の出やすさ、味がクリアかどうかを調整でき、それを数値化することが常に一定の味を出す基準になります。単純に細挽きなら味も出るがえぐ味もでやすい、粗挽きならクリアに抽出しやすいという感じでいいと思います。ネクストGは一回一回粗さ調整をして挽くことができて、実験の効率が非常に良くなります。秘密は、「一定量を挽ききる」ように出来ている構造です。
ナイスカットミルはホッパーの真下にカッターがあるのではなく、豆がスクリューコンベアで運ばれて、カッター部に導かれます。この構造の何が良いかというと、”豆が弾けて挽けない”現象がありません。最近はホッパーが大容量のタンクになっていて、そこから必要な分だけ挽けるものも多いです。
しかし豆を一定量ホッパーに入れておくのが前提なので、最後はカッターに弾かれた豆がホッパー内に残ってしまうということが起きやすくなります。また、ホッパー内の豆をキレイに挽ききらないと、粗さ調整を自由に行うことが出来ません。というのもこの手のタイプは、豆が残っている状態で粗さ調整をすると、モーター軸が曲がってしまう可能性があるので、ホッパーに豆が入っているときはミルを回しながら調整する必要があります。つまり実験でいちいち粗さを調整するには不向きということです。そのかわり豆を一度にまとめて入れておけるので、一般家庭用としては非常に重宝すると思いますが。
コーヒー道を極めるならおすすめ
以上のことからコーヒー研究にはとても向いているといえるネクストGですが、値段的に普通にコーヒーを楽しみたいだけの方におすすめの商品とは言えないかなと思います。ただ、コーヒーのこと、ハンドドリップのことなど本格的にトライしてみたい方には、クオリティが高いだけではなく、色々な気づきを与えてくれる一品だと思います。基本的にはコーヒーにドハマリするのはやめておけ!と言いたいところですが(笑)。一緒にコーヒーを極めたい方はどうぞ僕と一緒に地獄へ。
※ちなみにですがエスプレッソを自宅で淹れたい方はこれでは出来ません。極細挽きまで対応していないので目が荒すぎます。向いているのはペーパードリップ、ネルドリップ、サイフォン、フレンチプレス、水出しコーヒー あたりですね。
-
前の記事
結局、美味しいコーヒーを淹れる方法はたった一つ? 2020.09.02
-
次の記事
DIYコーヒーカウンターを紹介 2020.09.05