あなたのドリップがそのまま味になる【HARIO V60ドリッパー】
- 2021.02.10
- コーヒー
2、3年前はコーヒーにおいてハンドドリップブームが目に見えて起こっていたような気がしないでもありません。
始めてハンドドリップに挑戦してみる、という人が良くいましたが、大体の人が最初はHARIO V60というドリッパーから始めるような感じです。サーバー、ドリッパーがセットになったドリップセットというものもありますから、結構とっかかりとしてはいいんですよね。そんなHARIO V60というコーヒードリッパー、初心者向けに見えて実は極めると生涯付き合っていけるようなドリッパーだったりもします。僕から見たV60は正直初心者向けとは言い難いですが、その辺含めて魅力たっぷりのドリッパーです。
HARIO V60ってどんなドリッパー?
HARIO V60は大きな1つ穴に螺旋状のリブがついた、円錐形ドリッパー。
円錐形の中でも比較的大きめに作られていて、お湯の抜けが速く、抽出のスピードコントロールがしやすい形状になっています。お湯抜けが速い分浸漬状態で時間をかけて抽出するのは苦手ですが。
酸味、苦味を出しやすい、雑味も出やすい
V60は味のキレを出しやすく、酸味や苦味が出やすいドリッパーだと思っています。味をハッキリ出すことができるので、強い味を出せるドリッパー、とも表現できます。お湯抜けが速い分、透過状態が続いて、豆からどんどん味を出してくれるのでしょう。
※ドリップ式は基本的に透過式(プアオーバー)ですが、お湯抜けが遅いとその分ドリッパー内に一定時間お湯が貯まるので、浸漬式(イマージョン)の味に近づきます。V60は透過式ならではのキレのある味に仕上げやすいということです。
強い味を表現したい時にも使えますが、その分雑味も出やすくなります。特に深煎りのコーヒーを淹れたい時は、最初はクリーンカップに仕上がらなかったり、苦味が出過ぎて胸焼けしたり、深煎りなのに酸味が強く出たりと苦労するかもしれません。うまく抽出をコントロールできるようになると、V60でも雑味なくクリアに仕上げることができます。
コーヒー豆の特徴をフラットに再現できる
上記のことに関連していますが、V60はコーヒー豆のもつ味の特徴を、かなりフラットに出せるようになっているように思います。ブラジルのどこどこ農園とか、エチオピア特有の酸味、とか。豆本来の味の特徴(テロワール)を再現しやすいので、新しく買った豆を試してみるのには最適です。また、ドリップの仕方によって味がハッキリと変わる側面も持っています。
一口にハンドドリップといっても、点滴ドリップ、一湯だて、攪拌ドリップなど、淹れる人によって様々違いがあります。そんな淹れ方の特徴を結構ダイレクトに味に反映してくれるので、自分の淹れ方がどんな味を作り出すのかわかりやすくなります。コーヒーの研究をするのに選ぶスタンダードなドリッパーとしてもオススメです。
薄くて匂いの少ないペーパーフィルター
HARIO V60で僕が一番気に入っているのは、匂いの少ないペーパーフィルターです。
僕はペーパー特有のパルプ臭を減らすために、最初にペーパーにお湯通し(リンス)をします。普通は結構湯を注がないと、パルプ臭が取れないのですが、HARIOのペーパーは少量のリンスですぐドリップができてしまいます。また、元々の匂いも柔らかくて、コーヒーの香りに影響を与えづらくなっています。これは浅煎りを淹れる僕にとっては嬉しい仕様です。
また、薄型で柔らかいペーパーはお湯の通りが速く、これもV60特有の素早い抽出に一役買っています。ただひとつ注意すべきは、V60用ペーパーを他のドリッパーで使わないことです。お湯抜けが速くて他のドリッパーと組み合わせると、薄くて味けのないコーヒーに仕上がりやすくなります。どうせV60ペーパーを使うなら純正同士でV60ドリッパーを用いるのが良いでしょう。もちろん可能性の探求や、実験の為にやってみるのは賛成ですが。
HARIO V60はどんな人にオススメ?
以上を踏まえて、僕だったらどんな人にこのV60をオススメするか考えてみたいと思います。
浅煎りコーヒーを気軽に淹れたい人
V60は深煎りを適当に淹れてしまうと、苦味や雑味が強く出てしまうので、基本的には浅煎りが好きな人にオススメします。ドリップの腕が上がれば深煎りも淹れられますが、深煎りを気軽にトライしてみたいのであれば、僕は他のドリッパーをオススメします。例えば三洋産業の扇形ドリッパーとかですかね。逆に浅煎りの場合は、割と適当に淹れても美味しいと思います。
ハンドドリップの腕を磨きたい人
ハンドドリップの腕をあげたい人には、結構オススメできるドリッパーです。V60で好みの味を出すためには、正確な抽出のコントロールが求められます。V60自体は味をそのまま表現してしまうので、持ち主の技量や方法に大きく左右されるわけです。ドリップが「上手いと美味い」というわけです。ギターでいうと、ギブソンやフェンダーではなくPRSのイメージです。
豆の味の研究や淹れ方の研究がしたい人
ドリップの腕を磨くのと同じく大切なのは、色々なコーヒー豆を試したり、色々な淹れ方を試してみることです。V60は基本的にフラットに味を出してくれるので、豆の特徴にも触れやすいですし、淹れ方を変えるとダイレクトに違いを感じることができます。ドリッパー特有のクセみたいなものが少ないので、常に新しいものはV60で試してみる、というような習慣をつけると、微妙な変化も感じ取りやすくなります。実際、僕は新しく焙煎した豆を味見するときは、ほとんどV60で試しています。
HARIO V60含む複数持ちをオススメ
最後に、V60の魅力を引き出すもう一つの提案をしておきます。
それはV60を含めたドリッパーの複数持ちです。「ドリッパーなんていくつもあったら邪魔だろ」って?もちろん一般家庭というか一般ユーザーには複数持ちなんてオススメしないです。ですがあなたがコーヒーの見識を広めたい人であれば、色々なドリッパーを試してみるといいでしょう。同じコーヒー豆を同じ淹れ方で淹れても、ドリッパーによって味の違いを感じることができます。
一例ですが、
- 浅煎り:HARIO V60+KEY クリスタルドリッパー
- 深煎り:HARIO V60+コーノ 名門ドリッパー
- 浅煎り+深煎り:HARIO V60+CAFEC フラワードリッパー
などなど、それぞれ浅煎りや深煎りの得意なドリッパーと組み合わせるのもやりやすいです。器具による味の違いを出せると、より一つの豆から多角的に味を出すアプローチができるので、経験値は間違いなく上がると思います多分。
終わりに
人それぞれコーヒーの味に好みはあると思いますが、最近の喫茶店ではとりあえずHARIO V60を使っているように感じるお店などもよく見かける気がします。
「このコーヒーは深煎りだけどどうしてV60を使っているんだろう」
と疑問を持って味見しても、答えが見えてこない。
そんなコーヒーに出会ってしまうと残念でなりません。だから僕は初心者にも、とりあえずV60を買っとけ、などというオススメの仕方はしません。V60を使いこなすというのは、自分の中の出したい味がハッキリしていて、豆の魅力を最大限引き出してあげることだと思っています。あなたもコーヒー沼にハマって、V60を使いこなしてみてはいかがでしょう。
1〜2人用 3〜4人用
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