浅煎りコーヒーの香りを最大限引き出す”撹拌ドリップ”について
- 2020.11.27
- コーヒー
”撹拌ドリップ”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
ハンドドリップといえば、豆にストレスを与えないよう静かに注ぐ、という考えがよくあると思います。撹拌ドリップは静かにどころか、蒸らし中のドリッパー内を”スプーンでかき混ぜる”なんてことをしてしまいます。「それを混ぜるなんてとんでもない!」って言われそうですが、実際ジャパンハンドドリップ選手権(JHDC)の競技でも使う選手がいるような手法です。そんな撹拌ドリップのやり方や魅力を今回ご紹介したいと思います。
撹拌ドリップのやり方
撹拌ドリップのやり方は割と簡単です。
- 少し多めのお湯で蒸らす
- すぐにスプーンで軽く混ぜる
- いつもどおりドリップする
少し多めのお湯で蒸らす
まずは蒸らしの段階です。蒸らしは豆全体にお湯が浸透する程度に注ぐ人が多いと思います。撹拌ドリップの場合(というか僕の場合)は、豆のグラム数に対して4倍程度のお湯を注ぎます。そうすると、撹拌もしやすくなり、撹拌後に豆の成分が蒸らし中のお湯にしっかり移ってくれます。
すぐにスプーンで軽く混ぜる
蒸らしのお湯を注いだら、お湯が落ちきって水面が無くなる前にすぐ撹拌します。僕のやり方は、ドリッパー中心あたりにスプーンを3cmほど浸けて、前後に2、3回動かします。これ以上は余計な味が出すぎる可能性があるので、あくまで軽く撹拌でOKです。
いつもどおりドリップする
2.までの工程で撹拌ドリップは終了で、ここからは自分の好きな方法でドリップします。
僕の場合は2湯目(蒸らしを1湯目とカウントしてます)に蒸らしを同じ量のお湯を注いで、落ちきるギリギリまで待ちます。そして3湯目で、蒸らしの3倍量のお湯をたっぷり注いで、サーバーのメモリを見て落ちきる前にドリッパーを外して完成。抽出後半にたっぷりお湯を注ぐと、味が強くても舌触りのよい丸い味に仕上がります。
以下の記事も参考にしていただけると
なぜ撹拌ドリップをするのか
そもそも僕が撹拌ドリップを取り入れたのはごく最近です。
撹拌ドリップに挑戦しなかった理由としては、注ぎ方だけでコントロールできたほうがクールだ!と思っていたからです。お湯を勢いよく注ぎさえすれば、同じ効果を得られると思っていました。しかし注ぎ口の細いドリップケトルでは注ぐスピードにも限界がありました。それに自称コーヒー研究家としては、やはりいろいろな手法を試して見るべき、という考えが頭をよぎりまして、実践に至ったというわけです。結論から言えば、ハイロースト未満の浅煎りならぜひ取り入れたい手法だと思いました。
撹拌ドリップはコーヒーの香りと味を強めることができる
撹拌ドリップをするメリットは、”コーヒーの香り、味を強くできる”点です。
蒸らし中にドリッパー内を撹拌することで、より早く豆全体にお湯を浸透させて、豆の中の香りと味を引き出すことができます。効果としては、淹れている段階から香りの立ち方にハッキリ違いを感じて、味は豆の特徴がしっかり分かるほど違ってきます。ハンドドリップにも色々な淹れ方がありますが、これほど違いを感じたのは初めてです。
浅煎りのコーヒーは香りと味が弱い傾向にある
僕は浅煎りのコーヒーが好きで、ハイローストよりも前の段階、ミディアムローストあたりで焙煎を止めてしまいます。
この段階は、豆の特徴(テロワールと言います)をハッキリ感じることができて、程よい酸味と甘味を感じることができます。また、この焙煎段階まではクロロゲン酸という抗酸化物質が豊富で、健康効果も高いと言われているのです。ですがその反面、香りと味が深煎りに比べると弱くなってしまいます。熱による化学反応で出てくる苦味、酸味、甘みがまだ弱いからです。もちろん焙煎技術を上げていけば、香りも味もより引き出せるでしょうが、基本性は変わりません。
そこで撹拌ドリップを行うことで、豆から余すことなく香りと味を引き出しているのです。
撹拌ドリップで味と濃さのいいとこ取り
撹拌ドリップは香りと味を引き出せる、浅煎りはフルーティだが味が弱い。
つまり浅煎りコーヒーと撹拌ドリップは、相性が非常に良い組み合わせだと言えると思います。実際撹拌ドリップを始めてからは、以前より2段階ほどコーヒーのクオリティが上がったように思います。ミディアムローストコーヒーを入れる場合に限っては、正直もう撹拌無しでは飲めないかなと思っています…。
撹拌ドリップの注意点
一方、撹拌ドリップを使うにあたってのの注意点もあります。
- 過抽出の原因になりうる
- かき混ぜ過ぎ注意
- 深煎りコーヒーには不向きだと思う
過抽出の原因になりうる
撹拌ドリップは味がしっかり引き出せる反面、同時に過抽出による雑味やえぐ味の原因になりえます。
どんな抽出方法にも言えることですが、マイルドな味は抽出不足、ストロングな味は過抽出の危険を常にはらんでおり綱渡りです。撹拌ドリップも絶対にやるべきものというわけではなく、あくまでも”もう少し味を引き出せないか?”というときに試してもるものだと思います。
かき混ぜ過ぎ注意
2. 3.の項目については、全て1.に起因するものです。
スプーンでかき混ぜるとき、かき混ぜ回数が多すぎたり、あまりドリッパーの端っこの方まで混ぜてしまうと、これまた過抽出気味のえぐい味になります。ドリッパーは真ん中の部分が深くなっているので、中心部分に軽くスプーンを前後させあげるだけで十分です。
深煎りコーヒーには不向きだと思う
深煎りのコーヒー、とりわけシティロースト以上のコーヒーは、もともと味がしっかり出るようになっています。
なので、深煎りのコーヒーに撹拌ドリップを行うと、過抽出によりズンと苦味が出てきてしまうように思います。「深煎りでかなり苦いものが好き」という人はもちろんOKですが、やはり深煎りは豆にストレスを与えず、静かに淹れてあげるのがベターかもしれません。
というわけで今回は撹拌ドリップについて語らせてもらいました。僕と同じで浅煎りが好きな人は是非一度は試していただけたらと思います。
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