HARIO MUGENって4:6メソッドで淹れても美味しいよね

HARIO MUGENって4:6メソッドで淹れても美味しいよね

4:6メソッドってみなさん試したことありますか?

この手法で淹れると、コーヒーの仕上がりがとてもクリーンになって、コーヒー豆ごとの特徴もわかりやすいので僕は大好きです。ただ、HARIO V60で淹れる際、もう少しコクが出せるとより自分好みにできるかなと思っていました。そこで最近買ったV60シリーズの「MUGEN」で試してみたら、かなり好きな味に仕上がりました。

今回はそんなお話。正直言いたいことはこれですべて終わりです(笑)

HARIO MUGENと4:6メソッド

HARIO MUGENとは

HARIOの代表的なドリッパーといえば、V60ですよね。

螺旋状のリブが美しく輝くアレ。今は世界的にも最も有名なドリッパーといってもいいのではないでしょうか。ブリュワーズカップやハンドドリップ選手権などでも大半の人が使っているイメージがあります。その大きな理由はおそらく、淹れる人によって味が変化する点でしょうね。

一方、HARIO MUGENというのは、最近出てきたV60シリーズの特殊型で、「蒸らし工程すら省いて、ただ注ぐだけで美味しく淹れられてしまう」という円錐型としては全く新しいドリッパーです(ぶっちゃけちゃんとしたドリッパーなら豆の質さえ良ければどれも適当に淹れても美味しいということは置いといて)。

HARIO V60が「淹れ方で自由に味作りができる」ドリッパーであるのに対し、HARIO MUGENは「誰が淹れても美味しくできる」ドリッパー。同じV60シリーズでも、性格はほぼ真逆と言ってもいいでしょう。MUGENは一回で注ぎ切るだけで美味しく抽出できるのですが、他のドリッパーでやるような抽出メソッドを用いてもそれはそれで違う味が出せます。

例えば後述の4:6メソッドも同じです。しかしその場合も、味が安定しやすい、コクが深く出るという基本的なMUGENの特徴は維持できます。

4:6メソッドとは

もちろん4:6メソッドを知らない人もいると思うのでここで軽く触れておきます。

4:6メソッドは、2016年ワールド・ブリュワーズカップ(要するにコーヒーのすごい人選手権)にて優勝した、粕谷哲さんが大会で提唱した抽出メソッドです。このメソッドにおけるポイントは、

  • 抽出前半と後半で、注湯量を40%、60%に分けて考える
  • 前半の40%はコーヒーの味、後半の60%はコーヒーの濃さを調整する
  • 前半2回、後半3回の5回に分けて、基本的に45秒間隔で注湯する
  • 注湯は落としきりであり、雑味は粗挽きにすることで抑える

カンタンにまとめましたが、詳しいことは機会があれば解説をします。

これ、本来は粕谷哲さんがHARIO V60を用いて行った手法です。また、後にご本人監修の、シグネイチャーモデルのV60も販売されています。この抽出メソッドは、基本的にドリッパーのコーヒーが落ちるスピードが早いほど、クリーンな味に仕上がります。逆にコーヒーの落ちるスピードが遅ければ、クリーンさは減るけどコクが出てくる、ということです。

粕谷哲モデルのV60というのは買ってないので試していないのですが、下部分のリブを無くすことで、ノーマルよりコク(ボディ感)を引き出しているようです。余談ですが、僕はこの4:6メソッドに大きく影響を受けているため、コーノ式ドリップでも、僕のオリジナルの抽出メソッドでもこの考え方がベースになっています。

なぜMUGENで4:6メソッドを使うのか

ここまで説明してきて答えは大体出てきていますが、なぜHARIO MUGENで4:6メソッドを使うと美味しいのかまとめていきます。

MUGEN独特のコクと味わい

MUGENには、他のドリッパーではなかなか出せない独自のコクと味わいが出せます。

まず基本的にコーヒーの落ちるスピードが遅いドリッパーは、コクを出すのが得意、逆にクリーンカップに仕上げるのは苦手です。MUGENは底部の穴が小さく、リブも少なく浅いのでコクを引き出すのが得意。MUGENには蒸らしの工程がないのでその分味が薄くなるのを補う構造ですが、4:6メソッドを用いることでコクを引き出しやすいのもこれが要因です。

またMUGENの味わいは、濃厚なのに雑味が少なく、「これぞサードウェーブコーヒー!」と思えるような味わいを実現します。ドリッパーの違いによる味の方向性は、淹れ方が違っても基本は変わりません。どんなに淹れ方が変わっても、コーヒー豆とドリッパーが同じ場合、やはり味の共通点は出てきます。なのでMUGENを使って4:6メソッドを用いたとしても、やはりMUGENらしい味わいは出てきます。そこを利用して、ドリッパーの種類と抽出メソッドの組み合わせで自分の好きな味を再現しよう、というわけです。

遅い抽出スピードを利用して4:6メソッドの良さを引き出す

4:6メソッドはV60で淹れても十分美味しいのですが、もう少し抽出の遅いドリッパーを選択することでも、抽出中に十分なホールド感をもたせて美味しさを引き出すことが出来ます。実際、粕谷哲モデルのV60もコーヒーが落ちる前のスピードをリブを無くすことでコントロールしています。

僕なんかはKEYのクリスタルドリッパーを使って4:6メソッドを用いていました。クリスタルドリッパーはV60より穴が小さいので抽出も少しゆっくりになります。今回MUGENを応用する理由も同じ。本来一湯だてでいれるMUGENもまた抽出スピードが遅いことを利用して、味わいを引き出せるという仮説を立てて実践してみたわけです。かくしてその仮説はビンゴでした。

4:6メソッドによる抽出レシピの作り方

HARIO MUGEN
4:6メソッドで淹れたときの表面の泡が好き

機会があれば4:6メソッドについても詳しく触れてみようとは思っていますが、ここでは実際にどんなふうに淹れればよいのかカンタンに書き記しておきます。自分の備忘録にするためとも言えますが。

オリジナルレシピの算出方法

1.注湯量を決定する

オリジナルの注湯量はコーヒー豆20gに対し300mlとなっていますが、これは必要量に応じてカスタム可能です。

150ml、200ml、250ml、300ml、450ml、600ml

このあたりが使いやすい量だと思います。

ひとつ注意が必要なのが、あくまで「注湯量」であって、「コーヒーの量」ではありません。落としきりの抽出法とはいえ、コーヒーの粉とペーパーが吸った水分はドリッパーの中に残りますので、サーバーに落ちる分は注湯量より少なくなります。だから、120ml(コーヒーカップ1杯)のコーヒーを作るのに、120mlの注湯量では足りないので、150mlの注湯量となります。

「コーヒーの量」が「注湯量」に対してどのくらい減るかはコーヒー豆の焙煎度合いや水分の残り方で違ってきますが、おおよそ15%くらいは目減りすると思っておいたほうが良いでしょう。ドリッパーにお湯が残っているうちにサーバーから外す方法と違って、最終的なコーヒーの量調整は少しだけ難しくなります。

2.コーヒー豆の量を計算する

注湯量が決まったらそれに合わせたコーヒー豆のグラム数の計算。計算式は、

注湯量÷15=コーヒー豆のグラム数

例えば、150mlの注湯量なら、コーヒー豆は10gです。割り切れない場合は繰り上げして覚えやすい数値にしましょう。

コーヒー豆は粗挽きにして用意しましょう。粗挽きにすることで、落としきりでもサーバーに落ちる雑味が最小限になります。コーヒー豆の量は、好みに応じてカスタムしてももちろんOK。「粗挽き」の度合いも好みでOK、一番粗いところから好みの味になるまで細くしていくといいでしょう。僕はナイスカットミルで言うところの7番あたりが好きです。

3.一回の注湯量を計算する

4:6メソッドは基本的に注湯を5回に分けて行います。

なので、注湯量を5で割った数(150mlなら30ml)を算出しておきましょう。最初の2回の注湯(40%)で味の調整を、残り3回の注湯(60%)で濃さの調整を行うので4:6メソッドというのですが、頭の中で理解しづらいときは、「2:3メソッド」と頭の中で書き換えてもいいかもしれません。これなら注湯回数と合致して覚えやすいでしょう。でも人に言うときは4:6メソッドと言ったほうがかっこいいです。

以上でレシピは完成!あとは基本的な抽出手順を記しておきます。

4:6メソッド抽出手順

以下の表をコピーしてKeepメモなどに貼り付け、◎、○部分をお好みの注湯量に置き換えましょう。

 

注ぎ始める直前にタイマーを起動

①0:00 ◎ml(甘みを強調するときは①の注湯量を少なめに)

②0:45 ◎ml(酸味を強調するときは②の注湯量を少なめに、②の時点で注湯量40%)

③1:30 ○ml

④2:10 ○ml

⑤2:45 ○ml

⑥3:30 ドリッパーを外す

 

※①は何湯目かの指標、0:00は注ぎ始めるタイミング、◎、○mlは一回の注湯量(何秒かけて注ぐかは適当でおk)

※◎は味調整(4:6の4の部分)、○は濃さ調整(4:6の6の部分)

※基本的に45秒間隔で注ぐけど、濃さ調整の③からは5秒ずつ減って40秒、35秒、⑤だけ落とし切るために45秒待つ

終わりに

抽出メソッドの話もしてしまって長くなりました(これでも軽く触れたほう)。

ここまで読んでくださった酔狂な方には感謝します。今回はHARIO MUGENの応用について話しましたが、基本的にこのドリッパーは、何も考えずお湯を淹れるだけで出来てしまうラクラクなドリッパーです。

「サードウェーブ的な味にしたいけどカンタンに淹れたい」

という方にもピッタリ。ぜひ試して見てくださいb

VDMU-02-TB  陶器製のVDMU-02-CWもあるよ