お手軽コーヒー焙煎器 ライソン「RT-01」を試してみた

お手軽コーヒー焙煎器 ライソン「RT-01」を試してみた

もはやコーヒーの研究が僕のライフワークになりつつあります(仕事しているとは言ってない)。ある日、ふとこんな考えが浮かんできました。

「オリジナルブレンド作りてえなぁ…」

そう、やはり自称コーヒー研究家としては、今までの知識をもとに、最高に自分好みのブレンドを作り上げてこそ集大成と言えるでしょう。いや、言えませんけど。僕は普段、お家焙煎のお手軽手法としてオーブン焙煎を皆さんに推奨しています(してません)。

例えばこの記事

ですが、オーブンは一度に200gほど焙煎できる反面、少量の焙煎にはあまり適していないと思います。厳密にいうと、理想の焙煎になるまで温度や時間の設定を調整するのが大変で、せっかくそれを覚えても、焙煎量(グラム数)が変わるとその設定も変えなくてはいけません。ただでさえ季節によって違ったり、豆の種類によって変わったりするのに、サンプルロースティングのためにそこまでやるのは大変です。そこで購入したのが、ライソン「RT-01」ホームロースターです。

RT-01はどんなスペック?

さっそく、何回かパターンを試しながら使ってみた感想を交えて、この焙煎器の特徴を語っていきます。

注意事項

その前に、みなさんが思っていることを当てて断言しましょう。出来ません。

  • 「ライソンのホームロースターは浅煎りモードが存在するって本当?」
  • 「ライソンは途中で焙煎を止めて冷却モードにできるの?」

ということが気になる人のために。僕の買った「RT-01」は初期型であり、浅煎りモード、つまり途中冷却モードがあるのは後継型の「RT-02」。似たような値段でありながら、その性能差は天と地ほども隔たっています。

ならばなぜ僕はRT-01を持っているのか?答えは一つ。間違えたからです。

ライソンには「最初から浅煎りモードがついている」と思っていたからに他なりません。みなさんはマジで注意してください。ぶっちゃけ、RT-01を今選ぶ理由はありません。誰かさんみたいに思いつきで、確認する前に買わないように注意しましょう。誰かさんの魂が安らかに眠れるように…。

ライソンRT-01
RT-02と見た目ほぼおんなじだからね。

40~60gの焙煎容量 大容量はムリ

ライソンホームロースターの、一度に焙煎できる量は、生豆で40~60gほどです。

焙煎終了後の豆の量は、水分が飛んで生豆時の80%ほどになります。これは、1人で飲むとしたら3〜4回分、複数人で飲むなら1〜2回分といったところです。お店で買ってくるコーヒー豆みたいに、200gとか一気には焙煎できない点には注意。あくまで、少量ずつ焙煎していくスタンスのものになります。僕はこういった種類の焙煎器を、勝手に「サンプルロースター」と呼んでいます。まあ、kg単位で焙煎するプロからしたら、300gほど焙煎できるロースターすらサンプルロースターなんですけどね(笑)。

ライソンホームロースター
生豆で40~60g

焙煎度合いは、シティローストかフルシティローストあたり

ライソンロースターにはボタンが2種類あります。表記は「ミディアム」と「ダーク」。つまり焙煎度合いは2種類です。

少し注意が必要なのは、この表記は焙煎度を「ライト(アメリカン)」「ミディアム」「ダーク」と大まかに分ける表記です。ここでいう「ミディアム」モードは、焙煎の教科書に載っている「ミディアムロースト」ではありません。「ミディアムロースト」は超浅煎りですが、ここで言っている「ミディアム」モードはシティローストくらい。

焙煎度合いにおける名前は、国や個人によっても表現が違うので、みんながみんな「シティロースト」と表現はしないと思いますが、僕の見立てでは「ミディアム」モードはシティロースト、「ダーク」モードはフルシティローストといったところ。この2種類の焙煎度合いを試して僕が思ったのは「極めて一般的なコーヒーの焙煎度」ということでした。

何が言いたいかというと、このライソンロースターで焙煎すると、どちらのボタンを選んでも失敗しないということです。どちらのモードを選んでも、「このモードはこのコーヒー豆でやるには失敗だったな…」なんてことはまず無いと思います。非常によく最適化された設定だと思います。

ライソンホームロースター
ミディアムモードはシティローストくらい。
ライソンホームロースター
ダークモードはフルシティローストくらい。

焙煎方式は「熱風式」?スッキリで味は強くない

このロースターの焙煎方式はおそらく、熱風式に近いものだと思います。

直火ではなく、熱風を当ててゆっくり焙煎する方式。このロースターのすごいところは、豆の中から外まで、焙煎ムラがほぼないことです。中までじっくり火が通っていて、非常に均一な味に仕上がります。この手の焙煎方法は、スッキリと飲みやすい味に仕上がりますが、コーヒー豆の特徴は出づらいという弱点もあります。ただ、特定の産地の独特の味のクセなどは出づらいと思うので、ライトに飲みたい人には向いていると思います。

こんなユーザーにオススメしたい

以上の点を踏まえて、このライソンロースターはどんな人に向いているのか考えてみたいと思います。

ライトにお家焙煎を楽しみたい人

このロースターを使用するのに、難しいことはありません。

豆を量って入れて(できれば欠点豆を取り除いて)ミディアムかダークのボタンを押すだけ。焙煎度合いとか、火力とか、色づきとかとかとか。自分であれこれ考えなくても機械制御である程度最適にやってくれるので、予備知識はほとんどいらないと思います。

「お家焙煎を試してみたいけど失敗したくない」

なんて人にはぴったりだと思います。ミディアムでもダークでも慣れ親しんだ味にできますし、仕上がりもスッキリ味で多くの人が飲みやすいと思います。

色々な豆の焙煎を試してみたい人

少量ずつ焙煎して、色々な豆の種類を味見したり、僕のようにブレンドを考えてみたい人にも向いているでしょう。

少量を手網で直火焙煎したり、僕のようにオーブンで焙煎するにしても、日によって仕上がりにばらつきがあると判断がしづらくなります。このロースターなら条件をある程度一定にできるので、実験がしやすくなります。しかしあくまで、シティ、フルシティローストあたりの焙煎ですので、ある程度好みが絞り込めたら自分の得意な焙煎方法で試してみる必要があります。ですが、何回か焙煎にトライしている人なら、大体こんな感じに仕上がるのか、と予想を立てることはできるでしょう。そういう意味でも、僕はこのマシンをサンプルロースターと呼んでいます。

焙煎は好きだけどチャフの処理が嫌いな人

僕のような変態を除いて、大体の人は焙煎にチャレンジするなら、手網焙煎、あるいはフライパンなどを使ってみると思います。その際、焙煎自体は楽しくても、チャフが飛び散るのが面倒、という悩みがある人も少なくないと思います。もし焙煎が手動か自動かにこだわりがなくて、楽に焙煎をしたいのであれば、ライソンを考えてみても良いと思います。ただし、今までの直火と違って、とてもスッキリな味になるのはお覚悟。

ライソンホームロースター
チャフを捨てるのはホント楽。

使っていて気になった点

やはりどんなものにも、強みがあれば同時にそれが弱みにもなりうるものです。僕が実際に使ってみて気になった点もあえて挙げてみたいと思います。

コーヒー豆の味が薄め

ここまでも何回か触れた点ですが、仕上がったコーヒー豆の味が薄いと感じました。

これは熱風式焙煎の特徴でもあり、同時にこのロースターの火力設定が関係していると思われます。僕が普段使っているオーブントースターでの焙煎よりも味が薄いくらい。スッキリ飲みやすい味に仕上がる反面、コーヒー豆ごとの特徴(テロワール)は感じづらくなります。サンプルロースターとして使うなら、「これを普段の焙煎でやったらこうなるだろう」という予測を立てながら使う必要がありそうです。

音がうるさい

これは構造上仕方のないもので、大体予想して買ったことなので、僕は全く文句はありません。しかしながらその作動音はなかなかのものです。熱を加える工程よりも、風を送って豆を回す工程が原因です。音の大きさは、掃除機よりも少し静かかな、ってくらい。

「焙煎の香りを楽しみながらゆっくり過ごしたい。」

そう考えているならやめておいたほうが良いでしょう。まあ世にあるほとんどの焙煎器が、静かとは言い難いでしょうけど(笑)。

ライソンホームロースター
焙煎しながら音楽を聞く?とんでもない。

理想の焙煎をするのは難しい

ライトに焙煎を楽しんだり、パターンを試すには良いと言いました。しかし、焙煎を研究している人が、このロースターで理想の焙煎をするのは難しいでしょう。

焙煎度合いの調整もできなければ、火力の調整もできませんので。このマシンの設定が、よっぽどぴったりと自分好みの設定になっていなければ、このマシンで焙煎のゴールは達成できません。あくまで、「理想のコーヒーにたどり着く補助」になります。まあ当然ですよね。コーヒーというものは深く追求すれば、一生味を研究していくことになりそうですから(笑)。

というわけで、不意に思いつきから手に入れてしまった焙煎器ですが、今後僕が考える最強のブレンドを目指して研究して行こうと思います。